2012/05/25

ブライアン・サウソール/ルパート・ペリー「ノーザン・ソングス―誰がビートルズの林檎をかじったのか」感想。
ノンフィクション。2012年05月24日読了。

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ノーザン・ソングス―誰がビートルズの林檎をかじったのか

1985年、マイケル・ジャクソンがビートルズの著作権を買った(wikipediaの1985年参照)。

正確に言うと、ビートルズのメンバーが作詞作曲した音楽の著作権を持っているATVミュージック社を、マイケル・ジャクソンが買った。

◆本書の概要(紀伊國屋Bookwebより)
ビートルズの名曲の大半を占めるレノン=マッカートニー楽曲。
それらを管理するために設立された音楽出版会社であるノーザン・ソングスは、さまざまな人々の思惑に翻弄され、譲渡を繰り返す。
作者のひとりポール・マッカートニーが現在、権利を所有しているレノン=マッカートニー楽曲は2曲のみ。
果たして誰がビートルズの林檎をかじったのか!?
ディック・ジェイムズか、ルー・グレードか、ロバート・ホームズ・ア・コートか、はたまたマイケル・ジャクソンか?
もうひとつのビートルズ史。


◆感想
本書は、201年4月出版された。原著は2006年に(たぶん)イギリスの出版社から出た。私の以前の職業は、コンテンツビジネス業界のライツマネジメント+法務。なので、本書のテーマに興味があり、家電エコポイントで入手した3万円の図書カードがあったので、本書を買った(誰に言い訳しているのだ?)。


ビートルズの楽曲の著作権は、なぜマイケル・ジャクソンの手に渡ったのか。

それをビートルズ誕生時まで遡り、当時ビートルズ+マネージャーのエプスタインは誰とどのような契約をしたのか、どのような経緯でそういう契約になったのか、それらを手に入れられる限りの資料と、直接関わった音楽業界関係者の証言で構成した、読み応えたっぷりなノンフィクションである。

以下、抄録(間違っている部分があるやもしれず)

・ビートルズがバンドを組み、地元で人気を得ていた。

・楽器の小売店で修行し、レコード販売店(NEMS)を経営していたエプスタインがマネージャーを買って出た。

・エプスタインが売り込んで、ビートルズはEMIからレコードを出すことになった。

音楽出版契約を結ばないとならなくなったので、最初の2曲(シングルの裏表)をEMIの音楽出版部門、アードモア&ビーチウッド社と契約した。

・アードモア&ビーチウッド社の実力はエプスタインの満足する物ではなかった。

・以降の曲はディック・ジェイムズ・ミュージック社と音楽出版契約を交わした。

(注:音楽出版契約を交わすと、著作権は作詞者や作曲者から、音楽出版社に譲渡される。譲渡である。譲渡した時点で、著作権は音楽出版社の物になる。代わりに音楽出版社は曲をいろんな所に売り込み、対価を作詞者作曲者に支払う。)

・ディック・ジェイムズは、ビートルズの楽曲を専門に扱う音楽出版会社ノーザン・ソングス社を、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、エプスタインの会社NEMSとディック・ジェイムズ・ミュージック社の合弁会社として新しく設立した。(当時ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターは曲を書いていなかったので蚊帳の外。ジョージ・ハリスンは後に曲を書き、ノーザン・ソングス社と音楽出版契約を交わしているが、後々揉める)

以降駆け足

・レノンとマッカートニーの税金対策を主眼として、ノーザン・ソングス社は株式上場した。

(注:当時のイギリスでは、高額を稼ぐと90%を越える税金が取られた。しかし、株式配当という形なら、税率は50%程度だった)

・ノーザン・ソングス社とは別に、ビートルズのレコードを出すための会社(原盤やアルバムアートワークを作る会社)としてアップル社(iPhoneの会社じゃないよ)が作られた。

・ディック・ジェイムズはレノン、マッカートニーに内緒で、ノーザン・ソングス社をATV社に売却した。

・レノンとマッカートニーが仲違いし始め、ビートルズ解散。
(以下はwikipediaのビートルズより一部引用)
1970年4月10日、ポール・マッカートニーはイギリスの大衆紙『デイリー・ミラー』でビートルズからの脱退を発表し、同年12月30日にはロンドン高等裁判所にアップル社と他の3人のメンバーを被告として、ビートルズの解散とアップル社における共同経営関係の解消を求める訴えを起こした。翌1971年3月12日、裁判所はポールの訴えを認め、他の3人は上告を断念したのでビートルズの解散が法的に決定された(解散についての詳細はビートルズの解散問題を参照の事)。

・レノンが殺された。(1980年)

・オノヨーコがレノンの著作権代理人となり、オノヨーコが契約交渉の場に占いを持ち出したり支離滅裂状態になった。

・ATV社はオーストラリアの銭ゲバ富豪ホームズ・ア・コート率いるACCに買収された。

・マッカートニーは何度か自分の著作権を買い戻す機会があった。けど、オノヨーコ(レノンの代理人)と連携が取れず、買い戻すには至らなかった。

・オーストラリアの銭ゲバ富豪ホームズ・ア・コートは、買収したATV社を、テレビ部門や音楽部門など切り売りした後、ノーザン・ソングス社が含まれるATV音楽出版部門を、最終的にマイケル・ジャクソンに売却した。

・マイケル・ジャクソン売却に伴い、マイケル界隈の弁護士会計士が全力を尽くし、ノーザン・ソングス社はバハマ籍になり(バハマはタックス・ヘイヴン)、そして消滅した。

マイケル・ジャクソンはATVの音楽出版管理業務をCBSソニーと提携した。EMIじゃなく。

・マイケル・ジャクソンの幼女暴行疑惑や、自身の放蕩生活が原因で、マイケル・ジャクソンは破綻しかかっている。

・さてどうなる……(本書はマイケル・ジャクソンが死ぬ前に出た本である)

……というような話が、

百人以上に及ぶ当時のイギリス音楽業界の関係者や、アメリカの関係者、マイケル・ジャクソンの関係者、レノンやマッカートニーやオノヨーコやジョージ・ハリスンらが起こした数々の裁判記録、音楽雑誌のスクープ資料……

とにかく膨大な資料を元に、本書は書かれた(と思われる)。


とりあえず本書ではオノヨーコがすさまじく嫌われている。

巻末で音楽著作権関連の監修をしているシンコーミュージック(日本の音楽出版社の草分け)顧問の秀間修一氏は、本書の原文には間違いや矛盾が散見されると書いている。

とはいえ、ビートルズが好き、もしくは音楽著作権に興味があるのなら、本書はかなり役立つ一冊。


ちなみに音楽著作権に関する基礎知識がない人が読むと、さっぱりわけわからん本だと思う。(専門用語が多くて挫折するんじゃないかな)


7点/10点満点

※どうでも良いことですが、ヘヴィメタル以上を好んで聞く私は、ビートルズが嫌いです。退屈すぎるので。

※追記:レノンとマッカートニーはノーザン・ソングスとは別にマックレン・ミュージックという音楽出版会社を作って、ビートルズ解散以降、マッカートニーはマッカートニー・ミュージックやマッカートニー・プロダクションズ・リミテッドという会社を作り、レノンはレノン・ミュージックやレノノ・ミュージックという会社を作り、ジョージ・ハリスンはハリソングスという会社を作った。

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2012/05/22

小野寺誠「ユーラシア漂泊」感想。
68歳のバックパッカー旅行記。2012年05月18日読了。

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ユーラシア漂泊

68歳でプロのバックパッカーを自称する著者が、別れたフィランド人との間に作った息子と孫に再会するため、陸路(+船)で日本からフィンランドに向かう貧乏旅行記。

本書が上梓されたのは2009年で、そのとき著者は68歳(だと思う)。

本書は中国渡航にビザが必要だったと書かれているので、2003年頃の旅の話(だと思う)。
だから著者が62~3歳頃の話なのではないかと思う。
というのも、本書、旅した月日に関しては記述があるが、年についてはまったく記述がないので、推測するしかない。

基本的に本書は、貧乏爺さんのグチと自作の詞で構成されている。

読んでいてイラッとする。


大阪から船で韓国に渡るため、大阪行きの夜行バスに乗っていると、目の前にビニールのカーテンがおりてきて車内灯が消された。これを「眠る時間が決められていて、寝なければいけないらしい。これでは幼稚園か保育園である。過剰保護、こんな国は他にないなあと思う。眠りたければ自分で寝るさ。外光が眩しければ目隠しくらい自分で用意するさ。余計なお世話だと誰も思わないのだろうか」

と書いている。
夜行バスってどこの国でも車内灯消えると思うのだが。&日本で夜間に車内灯と付けっぱなしで走るのって道交法違反じゃなかったっけ?


「希望がない。残りわずかな人生だというのに、今居る場所に希望がない。フリーターのようなことをやって、日々かろうじてやり過ごしてはいるが、将来も日銭が入ってくるとは限らない。年金もない。病気になったら国民健康補年の三割の支払も難しくなるだろう。それが、日本という国の福祉制度なのだ。いつでも死ぬ覚悟をしているが、死ぬわけには行かない。葬式代もないからだ。それらの費用を、旅にあてているからだ」

と書いている。
年金払ってないんじゃ、年金受け取る資格無いだろ。
希望がないのは、将来を考えない自業自得な生き方をしてきただけの話だろ。
キリギリスみたいな生き方をしてきた爺さんに私らの税金を使われたんじゃ、浮かばれないよ、早く死ねよ。死んだら区役所が焼いて無縁仏として埋葬してくれるから。

著者はフィンランド人の元妻と別れたあと、ロシア女性と結婚し、子供を作った。子供が生まれてすぐにロシア女性を捨てた。正式な離婚はしていない。子供は15歳。推測するに、著者が47歳くらいの時に出来た子供。
「子持ちの国際離婚にはたくさんの書類とその翻訳、弁護士との相談、面倒なことが山ほどある。しかも相手がロシアとなれば、言葉と慣習の違いが大きな障壁になる。愛し合うのは簡単だが、別れるのはそう簡単ではない。もうじき死んでいく老人の自分に、なぜ苛酷な心労を強いなければならないのか。」

自業自得だろバカ。
収入がないくせに50歳間際になって子供作る方がバカだろ。

「どこのだれが好きこのんでホームレスになるものか。それは政治や社会の責任ではないか。行政の手抜かりではないのか。隣人の、あなたのせいではないのか」

甘ったれるなクソジジイ。

全編こんな感じで、グチばかりの本である。


なのであるが、わざとこんな書き方をしたんじゃないかなあ。と思う。

7点/10点満点


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2012/05/21

曇っていたけど、金環食&ダイアモンドリング

曇っていたおかげで、フィルターを付けていないデジカメでもパチリとやったら良いのが撮れました。(ちなみに千葉県柏市の自宅マンションベランダで撮影)

Img_4859_s


こちらはダイアモンドリングになった状態。

Img_4863_ring_genzou_s


CAMERA : CANON EOS KISS X-2
LENS : TAMRON Model B003(ズーム 18-270mm)

上段の写真
焦点距離 : 270mm
絞り : f/9
シャッタースピード : 1/3200
ISO : 100

下段の写真(RAWデータをPhotoshopで現像)
焦点距離 : 270mm
絞り : f/10
シャッタースピード : 1/4000
ISO : 100


下段の写真のカメラ自動生成JPEGは以下のような感じ。
RAWデータ込みで撮っていて良かった。

Img_4863_original_small


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2012/05/19

蔵前仁一「ゴーゴー・アフリカ(下)」感想。
旅行記。2012年05月14日読了。

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ゴーゴー・アフリカ〈下〉

下巻は、1991年~1992年に旅したケニア、ウガンダ、タンザニア、ジンバブエ、南アの話が書かれている。

本書に記されている旅は1989年11月にスタートし、、アジア1年(これがゴーゴー・アジアの元になった旅らしい)、アフリカ1年半、合計2年半の超長旅のアフリカ部分である。しかしまあバックパッカーという人達はホントによくもまあこんな長旅が出来るなあ、と感心したり呆れたり。

ケニアの首都ナイロビから、ウガンダ国境付近のブンゴマからミニバスで1時間くらいの所にあるビスヌという村に住む海外青年協力隊員(の日本人)を訪ねていったり(下図参照)、


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ナイロビからウガンダの首都カンパラまで列車で移動し、旧ザイールのコンゴに行こうとしたけど過労でダウンしてザイール行きを諦め、ナイロビの安宿で3ヶ月休養、その後タンザニアに向けて出発。

タンザニアではキルワマソコという世界遺産の村(島)に行ったり、


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ジンバブエではキャンプ場がキレイに整備されていましたとか、南アではまだ黒人独立国(ホームランド)が残っている頃で、とはいえ南ア本国よりもホームランドの方が人々が親切で物価も安くて過ごしやすかった、なんてことも書かれている。

旅をしている間にナミビアが独立し、イラクがクウェートに侵攻し、東西ドイツが一つになり、ソ連が崩壊した。と、「あとがき」に書いてある。

「あとがき」には、(p207~208より引用)
 また「貧困」と一言でいっても、その有り様はいろいろだ。
<中略>
 西アフリカの人々の生活が豊かであると僕はいいはしないが、だからといって、われわれの生活と引き較べた上で単純に貧しいということもできない。
 われわれは、あまりにも簡単に「アフリカの飢餓」「アフリカの貧困」と言い過ぎているのではないかと、アフリカに来てあらためて自省を込めつつ感じたのだった。

とも書かれている。

この辺りの感覚は、ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」や、ヴィジャイ・マハジャン「アフリカ 動きだす9億人市場」でも指摘されていたことに似通っている。

ソ連が崩壊して20年経った今、本書に書かれているような度は殆ど出来ないだろう。何故かというと、アフリカ諸国に暮らす人々だってバカじゃないんだから、インターネットくらい普通に使っているし、高校卒業レベルの連中なら英語くらい読み書き出来るし(自分もそうだけど高卒で6年も英語勉強して英語がちっとも出来ない日本の教育って変だよ)、だからちょっとしたビジネスマンなら世界情勢をよく知っているし(それが自分の利益に直結することならより詳しく)、アフリカ諸国に住んでいる人達だって経済的に豊かになりたいと思っているし、そのために努力もしている。

現代においてアフリカを一括りにするのは無理があり、国全体が一丸となって経済発展を目指している国家もあれば(代表的なのはボツワナ)、石油が見つかってヒャッハーで独裁体制な国もあれば(アンゴラや赤道ギニア)、相変わらず部族の利権争いが血みどろで続いている国(コンゴやスーダン)もある。

そんなこんなで、本書は、わずか20年前のアフリカ諸国ってこんな感じだったんだよ! と教えてくれる貴重な本なのかもしれない。

それよりもなによりも蔵前節(世間の評判なんてどこ吹く風で、つまらないものはつまらないと言い切る価値観)が面白いから堪能できました。


8点/10点満点

参考:2010年に行ったナミビアの首都ウィントフックはけっこう発展しています。

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2012/05/17

蔵前仁一「ゴーゴー・アフリカ(上)」感想。
旅行記。2012年05月13日読了。

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ゴーゴー・アフリカ〈上〉


「わけいっても、わけいっても、インド」を読んだあとに、蔵前さんの本を検索したのです。

すると、「ゴーゴー・アフリカ(上・下)」が出てきた。蔵前さんはアフリカ本も出していたんですか、そりゃ読みたいです。 …でも1993年に出版された本書は絶版で、amazonの古本で手に入れたのです。

本書「ゴーゴー・アフリカ」の上巻には、
・1987年のモロッコ旅と、
・1990年~91年のアフリカ旅行(期間1年以上)のうち、アルジェリア~ニジェール~ブルキナファソ~マリ~コートジボアール~ガーナ~ベナンまでが収録されてます。

アルジェリア(のタマンラセット)からニジェール(のアルリット)までのサハラ砂漠をまたいだ国境越えを(下図参照)、ヒッチハイク同然でつかまえた車でやってしまう。ニジェールに車を売りに行くヨーロッパ人が多く存在し、そういう車売りの連中は、砂漠で車が砂に埋まってスタックしたときに車押しが必要なので、バックパッカーを見つけたら気軽に乗せてくれたのだとか。


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へえ、そうなのか、1990年頃というのは、そういう旅が可能だったのか。


私は2006年(私40歳)に二度目の海外旅行でケニアに行き、そこから海外旅行にはまって43歳で世界一周旅行に出て、アフリカにはモロッコ、エジプト、南ア、ナミビア、ジンバブエ、ザンビア、ボツワナに行きました(ジンバブエとザンビアとボツワナは国こそ3カ国に別れているけど全部ヴィクトリアフォールズ周辺)。だからなんだって話ですが、2012年の今はどうなんだろうね。こんなこと出来るのかな? 少なくとも、アルジェリアに入国するビザを取るのすら一苦労するはず。

私の知り合いで、英語とスペイン語とポルトガル語(とたぶんフランス語)がぺらぺらで、世界135カ国に行ったことがある旅人さんも、

「エジプトとかモロッコとかの周辺4~5カ国でアルジェリアビザを取ろうとしたけど、ぜんぜん取れなかった。招待状(この場合アルジェリア国民から出してもらうもので、通称「レター」)が無いとなかなか取れないですよ、私もアルジェリアは行ったことがないですもん」

と言っていたので、今の世界情勢で蔵前さんのような旅をするには、まずアルジェリアに入国できるかどうかが一つのキーポイントになるのだろう。


世界情勢というのは日々刻々と変わっているので、本書に記載されている内容はあくまで1990年~1991年の出来事、風景、人々、と思って本書を読むのが正解だろう。

とはいえオモロかったですよ。


8点/10点満点

※5/18追記
アルジェリアは、ぶらっと行くには不便というだけで、ツアーなどを使えばそれほど問題なく行けるはずです。観光ビザでアルジェリアに行く場合、宿泊先を予約して、ホテルから「予約証明書」をもらって、それをビザ申請時に添付する必要があるのです(なので宿泊先が決まっているツアーだと問題ない)。まあ、ビザ申請時の手間は、ロシアと似たような感じではないかと。

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2012/05/15

グナル・ハインゾーン「自爆する若者たち」感想。
人口学をベースにした紛争分析。2012年05月09日読了。

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自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来

前回更新から4冊読み終わりそうなので、一日おきに4回ほど更新します。

1943年ポーランド生まれでドイツに留学し、現在、社会学・経済学博士ブレーメン大学終身教授である著者が、(たぶん)スイスの出版社からドイツ語で出した本。


著者は、人口統計学と世界各国で起きている紛争の関連性を分析し、その結果、紛争の原因は宗教や部族の対立、貧困など”だけ”が原因ではないと本書で述べている。

人口統計学で「ユース・バルジ(youth bulge)」という現象がある。

バルジとは、人口ピラミッド(以下のような図)で「外側に異様に膨らんだ部分」であり、例えば下図の1950年の日本では0-5歳が異様に膨らんでいる。

日本の人口ピラミッド1950年


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↑人口ピラミッド図の引用元


つまり「ユース・バルジ」とは「過剰なまでに多い若者世代」となる。

そして15歳-29歳の男性が、全男性人口の30%を超えたとき、その国には紛争が起こる。

なぜ紛争が起きるのか。

この世代の男性人口が30%を越えるのは、その国の出生率が4とか5、もしくはそれ以上を記録しているときであり、つまり一世帯に子供が4人も5人も居るのである。人口の男女比は概ね1:1に収斂するので(世界でいちばん男女比が歪な国・中国でも1.06:1)、一世帯に2~3人の息子が居ることになる。

長男は父親の跡を継ぐとして、その国の経済が拡大しても次男三男四男……には、なかなかポストがまわってこない(父親世代も働いているから)。だから次男三男……は自力で仕事を見つけるしかない。

つまり「ユース・バルジ」のまっただ中にいる次男三男……は「あぶれ者」なのだ。

「あぶれ者」に残された道は6つである。
(1)国外への移住
(2)犯罪に走る
(3)クーデターを起こす
(4)内戦または革命を起こす
(5)集団殺害や追放を行って、殺した者のポストを奪う
(6)他国に侵略戦争を仕掛ける

この相関関係を、現代のイラクやアフガニスタン、中世ヨーロッパ、古代ローマに至るまで検証している。くどいほど検証している。

そして、この相関関係は発展途上国だけではなく、先進国(中世~近代ヨーロッパ)でも見られる現象であることを本書で説いている。


この説に似たものとして、桃井和馬「破壊される大地」で、1993年のルワンダ大虐殺は「人口が増えすぎ、一人当たりの耕作面積が減り、国民が満足に食料を得られなくなったことも一因ではないか」と書かれていて、へえなるほどなあ、単純な民族紛争と違うのかもなあ、と感心したことがある。


納得いかない方は本書を読んで下さい。私はとても参考になる本でした。

ただ、100ページ過ぎた辺りから妙に堅苦しい文言が増えてきて、読みづらくなってしまったのは残念。


7点/10点満点


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2012/05/08

石川直貴「プータロー、アフリカで300億円、稼ぐ!」感想。
自慢話。2012年05月07日読了。

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プータロー、アフリカで300億円、稼ぐ!―25歳無職の男が4年で年商300億

◆著者紹介(紀伊國屋Bookwebより)
石川直貴[イシカワナオキ]
1981年、沖縄県生まれ。タンザニア、ベナン、マダガスカルなどを拠点に、41のアフリカ企業の経営に携わる(2012年1月現在)。20代にして「年商300億円」を実現した。日本における「アフリカン・ビジネスの第一人者」のひとり(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

◆感想
2010年11月から、アフリカで商売している若者のメルマガを読んでいる。そのメルマガには、通常の貿易ではLC決済(参考URL:Yahoo知恵袋)を利用するが、アフリカを含め発展途上国ではTT決済(現金振り込みのようなもの)を利用するべきとか、(当時)ベナンで商売しているが隣のコートジボワールで大統領選があり現職大統領が負け暴動に発展、200人以上の死者が出てベナンにも波及しないか戦々恐々、など現地で商売していないとなかなか分からないようなことが書かれていた。

私がそのメルマガを読み出したときはマメにメルマガを発行していて、内容も興味深かった。しかし、忙しくなったのかメルマガの発行頻度が落ち、次第にブログとfacebookにシフトしていった。いつだか忘れたが、そのブログで、年商が300億円になったと書かれていた。

で、本書。

「プータロー、アフリカで300億円、稼ぐ!」である。

私はそのメルマガの発行者が、本書を書いたのかと思っていたのだが、facebookで使っている名前と異なる。

アフリカで300億円の売上を上げている日本人がそう何人もいるとは思えないんだがなあ、と思いつつ、しかし内容は興味があるので、いつか本屋で立ち読みしてから買うかどうかを決めよう、と近所の本屋をまわっていたのだが、私が普段の生活の延長で行く本屋には、本書が置かれることはなかった。つまり立ち読みできなかったということ。

本書の発行を知ってから1ヶ月くらい経った先日、メルマガの発行人から、「訳あってペンネームで執筆していますが、本を出しました」と言う内容のメールが届いた。

本書のことだった。

と言うわけで、本屋に置いていなくて立ち読み出来ない、けど読んでみたいので、買ってしまった。


内容は、300億円の売上が本当にあるのかどうかはわからないが、アフリカでビジネスをやっていなければ分からないような特殊事情が幾つか書かれていたので、それなりに信用していいのではないかと思う。

ただ、1時間30分で読み終えてしまったので、ボリュームは少ない。本の値段に見合った内容とは言えない。

この手の本は、実績を大袈裟に書いている場合が多い。私も著者のメルマガを読んでいなかったら、鼻で笑っていたかもしれない。実際、本書では個人名は全て仮名、会社名は出さない、写真もネットに落ちているのを拾ってきたようなの、で胡散臭い感じがする。いや、実際胡散臭い感じがするんだな、これが。

なんでこんな胡散臭い感じの本にしちゃったんだろう?

なので普通の評価。


5点/10点満点

※著者がアフリカで成功したのは、著者は学費+生活費が日本より安いという理由で韓国の大学に進学、寮の飯がまずかったので寮を出てアパート暮らしを始め、すると同級生の他国からの留学生仲間がアパートに集まるようになり、その中にアンゴラの警察庁長官の息子兄弟が2人、コートジボワール生まれベナン育ちの日本人女性(英語とフランス語がぺらぺら)、自国に中古韓国車を輸出して一儲けしたグルジア人などがいて、グルジア人を真似て大学時代に中古車をアンゴラに輸出するビジネスをやったら一儲けできました、と言う経緯が書かれている。

アフリカで商売しようという起業家精神も大事ですが、人との出会いが大事と言うことですね。

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2012/05/01

スコット・カーニー「レッドマーケット 人体部品産業の真実」感想。
臓器売買ルポ。2012年04月30日読了。

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レッドマーケット―人体部品産業の真実

ここ数年、製薬業界の実態や臓器売買に絡む本をそこそこ読んでいる(※)。2006年に、何かの書評(何かは忘れた)で取り上げられていたマーシャ・エンジェル「ビッグ・ファーマ」を読み、この本はアメリカの製薬業界の闇を露わにした本で、それどころか製薬業界だけではなく医者の世界もかなりどろどろしていることが書かれていて、以降、内戦とか紛争のルポ本ばかり読むのではなく、医療製薬業界の本もいろいろ読もうと思っているうちに、臓器売買のルポ系に興味の対象が移ってしまったのだ。

◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
インド……経済的成長著しいこの国の、混沌とした片田舎で繰り広げられる骨泥棒。しかしそれは、骨だけではなかった。靱帯や角膜、心臓、肝臓、腎臓などの臓器、血液、さらには人間本体までが日々売りに出され、買い取られている。
インドだけではない。中国、ヨーロッパ、アフリカ……世界中で取引される人間の部品(パーツマーケット)の実態とは?
気鋭のジャーナリストが暴く、その驚くべき真実に迫る。

◆著者(紀伊國屋Bookwebより)
カーニー,スコット[カーニー,スコット][Carney,Scott]
調査報道を専門とするアメリカ人ジャーナリスト。インドにのべ10年滞在した経験を持ち、「ワイアード」「マザー・ジョーンズ」「フォーリン・ポリシー」などに寄稿する他、BBC、CBC、「ナショナルジオグラフィック」などのテレビ番組やラジオ番組のレポーターも務める。子供の拉致、売買を扱った報道では、2010年にジャーナリズムにおける倫理賞(The Payne Awards for Ethics in Journalism)を受賞


◆感想

本書は、大学院で人類学を学び教職に就いたアメリカ人の著者が、

12人の学生を引率してインドに連れて行き、そのうち一人が死んだ。引率者として死んだ学生の遺体をアメリカに送り返すまでに、「遺体を引き取る権利は遺族のものとは限らない」と言う現実をたたきつけられた。そこから著者は、臓器だけではない、人体組織の売買に関する現実について理解し始め、調査した結果をまとめたのが本書である。

本書に記されていることの一部を記すと、

・ヒト成長ホルモンを製造するため、イギリスでは人間の死体から脳下垂体を盗む例が10万件を超える。つまり、ヒト成長ホルモンは人間の死体の脳下垂体から抽出される(一昔前までの話)

・髪の毛は、溶かしてアミノ酸にして、パンを発酵させる発酵剤になる(だから髪の毛はカツラやエクステ以外にも需要がある)

・インドや中国やサモアやザンビアやグアテマラやルーマニアや韓国の孤児は孤児院に入り、施設に入って間もない子供はアメリカやヨーロッパ諸国に養子として輸出される。孤児院には手数料が入る。

・アメリカでインドでも売血は合法だった。売られる血の品質が悪かったので、売血は禁止され、献血(無償提供)が中心になったが、インドでは未だに献血(というか血を抜かれること)に抵抗感を示す人が多く、惨めそうな男を誘拐して、監禁して、監視して、一年中誘拐してきた奴から血を抜き取る集団がいる。

・土葬されたばかりの墓から死体を盗んできて、死体を網でくるみ、おもりをつけて川に沈める。1週間もするとバクテリアと魚のおかげで骨はばらけ、肉片もどろどろになる。骨をこすったあと、苛性ソーダ水を入れた大釜で煮立てると、骨から肉片は無くなり、残った骨をキレイに磨けば(漂泊すれば)、世界中の医科大学に置いてある人骨標本の出来上がり。

スマトラ島沖地震 (2004年)で発生した津波は、インドやスリランカも襲った。津波に襲われたインド、タミルナードゥ州の村人は、「ツナミ・ナガール」という難民キャンプで被災生活をしていた。インド政府はろくな支援をしてくれない。村人の生活は困窮を極めた。そして、難民キャンプには腎臓売買を持ちかけるブローカーが跋扈するようになった。村人の多くが、腎臓を売った。

・イランでは、中央省庁の規制に従っている限り、臓器売買は合法である!

・キプロスは卵子売買が合法であり、ヨーロッパ諸国(卵子売買禁止の国が多い)の貧しい女性は、キプロスに来て卵子を売っている。卵子ドナー(売っている女性)の学歴が良ければ、取引価格は上がる。SAT(全米大学進学適性試験)スコアが100点上がる毎に、卵子の価格は2350ドル上昇する。

この他にも政府がほぼ公認している状態にあるインドの代理母の話、新薬の治験(実験台)プロフェッショナルの話、プロがいると治験の意味が薄れるので、インフォームドコンセント無しでインドや中国で新薬治験している話、

何かもう、てんこ盛り。


個人的には、医科大学の人骨標本が、(主にインドで)墓泥棒が土葬されたばかりの死体を盗んで加工して作られ、それが全世界にばらまかれている話には、かなり驚いた。

あと、髪の毛がパンの発酵剤になるのも(うげぇぇぇ)。ちなみに髪の毛のケラチンがLシスチンというアミノ酸になるらしい。


著者は延べ10年インドに住んでいたらしい。その関係もあり、紹介されている事例にはインドの例が多い。しかし、インドだけの実態ルポではない。

ある程度この手の知識を持っている私でも、本書に書かれていることはかなり衝撃的だった。

良書である。


9点/10点満点


※本書111ページに、アメリカの国連代表デイビッド・マータスと、カナダの元国会議員デイビッド・キルゴアによる論文「血塗られた収穫 中国における法輪功信者に対する臓器採取の報告」が紹介されていて、読んでみたくなったが原題が分からない。で、検索したら、
「戦慄の臓器狩り
中国における法輪功学習者を対象とした
「臓器狩り」調査報告書改訂版」

というのが引っかかった。リンクはPDFファイルです。


※ここ数年に読んだ製薬・臓器移植・臓器売買・医療関係の本
・小松美彦「脳死・臓器移植の本当の話」生命倫理の書。2012年03月29日読了。8点

・広野伊佐美「幼児売買-マフィアに侵略された日本」ルポ。2011年09月10日読了。評価不能(内容が嘘っぽい)

・粟屋剛「人体部品ビジネス」ルポ兼思想書。2011年09月06日読了。8点

・岸本忠三・中嶋彰「現代免疫物語」講談社ブルーバックス。2011年08月29日読了。7点

・ドナ・ディケンソン「ボディショッピング 血と肉の経済」ルポ?哲学?2011年08月23日読了。8点

・岩田健太郎「「患者様」が医療を壊す」エッセイ。2011年07月17日読了。6点

・デレック・ハンフリー「安楽死の方法 ファイナル・エグジット」安楽死指南書。2011年08月06日読了。6点

・一橋文哉「ドナービジネス」ノンフィクション……?2011年02月16日読了。評価不能(内容が嘘っぽい)

・山下鈴夫「激白 臓器売買事件の深層」言い訳本。2011年01月25日読了。3点

・城山英巳「中国臓器市場」ルポ。2011年01月24日読了。6点

・青山淳平「腎臓移植最前線」ノンフィクション。2010年10月17日読了。8点

・木村良一「臓器漂流」ルポ。2010年09月09日読了。4点

・佐藤健太郎「医薬品クライシス」いわゆる新書。2010年04月29日読了。7点

・里見清一「偽善の医療」エッセイ。2009年06月10日読了。8点

・小松秀樹「医療崩壊」医療ドキュメント。2007年06月22日読了。8点

・マーシャ・エンジェル「ビッグ・ファーマ」製薬業界告発ドキュメンタリー。2006年09月04日読了。8点

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2012/04/24

山田敏弘「モンスター 暗躍する次のアルカイダ」感想。
ルポ。2012年04月24日読了。

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モンスター―暗躍する次のアルカイダ

2008年、インドのムンバイで起きた同時多発テロ。日本人も一人犠牲になったことで、日本でもそれなりに報道された。

AFPニュースのWebサイトでは、こんな映像がまだ公開されている。

テロは11月26日の夜に始まり、

ムンバイ市内のターミナル駅で、駅舎が世界遺産のチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅。
5ッ星ホテルのオベロイ・トライデント・ホテル。
同じく5ッ星ホテルのタージマハル・ホテル。
ユダヤ教の施設ナリマン・ハウス。
若者や外国人に人気のレストラン、レオポルド・カフェ。

これら混雑する場所で、テロリストは無差別に、そこにいる人間に向けて銃弾を発射し、手榴弾を投げつけ、普通の人々を殺しまくった。

そしてテロリストは人質を取り立て籠もり、事態が完全に収束するのは29日の朝、つまり3日もかかったのである。

(テロの詳細はwikipediaの「ムンバイ同時多発テロ」を参照されたし。但し、この感想文を書いている2012/4/24現在、日本語版wikipediaではテロの犯人は確定していないと書かれている)


本書によると、犯行グループは「ラシュカレ・トイバ」というイスラム過激派組織で、印パ戦争(※)の原因であるカシミール紛争を機に組織された過激派であると書かれている。

すごく大雑把に言うと、カシミールに駐留するインド軍が、カシミール住民(イスラム教徒)を誘拐したり拷問したり強姦したり殺したりしているとんでもない状況で、テロという手段を使ってインド軍に対抗すべく組織されたグループである。らしい。


本書は、ラシュカレ・トイバに属するテロリストが、どうやってムンバイ同時多発テロを実行したのか、見てきたかのような感じで状況を説明しつつ、

テロリストは10人で、2人ずつ小グループを作ってムンバイで同時多発テロを粛々と実行したことや、

ラシュカレ・トイバの背景についての詳細な説明が加えられ、それはつまり今のカシミール地方はインド軍のやりたい放題になってしまっていること、

ラシュカレ・トイバの創設者はオサマ・ビンラディンともつながりがあり、

それを辿ると、旧ソ連軍がアフガニスタンに侵攻した際、アメリカのCIAがアルカイダに資金援助していた話は今では有名だが、ラシュカレ・トイバも同様であること、

ラシュカレ・トイバはアメリカ国籍を持つパキスタン人のエリート層をも取り込んでいて、ムンバイ同時多発テロの事前準備で下見させていたこと、そのパキスタン系アメリカ人はデンマークでも下見を行っていて、コペンハーゲンでテロを行う準備中だったこと、

ラシュカレ・トイバは、現代文明を駆使しており、GPS、衛星携帯電話(インマルサットとかイリジウム)、無料で作れる捨てメアド、GoogleMapで予行演習、そういうことを当たり前のようにやってくること、


などなど、本書の帯に依れば1500日の取材、本書を読めば分かるがパキスタンのかなり危険なエリアあちこちや、インドのカシミール地方(外務省は退避勧告~渡航の延期をお勧めします。を出しいる地域)など様々名場所で取材を行い、本書を仕上げた。


本書は段組がそれほどきつくない250ページほどであり、文字数はそれほど多くない。

しかし、文字数以上に、内容がぎっしりと詰まっている。


素晴らしい! 皆、読め!


10点/10点満点


※カシミール地方はインドとパキスタンがイギリスから独立する際、領主はヒンドゥー教なのでインド帰属を、住民はイスラム教徒が多いのでパキスタン帰属を望んでいたが、インド政府とパキスタン政府の思惑が交差し、単純にどちらかの国に帰属するような問題ではなくなってしまい、今までに実質4回の印パ戦争を引き起こしている。

※カシミールは、インドにはまって何度もインドを旅して、しまいにゃインド人と結婚してしまって、今ではインドエッセイマンガばかり書いているマンガ家「流水りんこ」が、「カシミールって史上最高に美しい」というようなことを漫画に書いていたけど、その流水りんこも、印パ紛争のせいでカシミールには行けなくなって残念がっていた。

※そのカシミール州の州都スリナガル(シュリナガルとも言う)は、デリーをうろついていると、「スリナガルに行きませんかー」とバックパッカー初心者をやたらと勧誘することで有名。

※以下に紹介する動画は、ムンバイ同時多発テロは延べ3日間も続いたテロのため、あちこちの現場で生中継されていました。そのうち、Youtubeでさくっと検索して引っかかったものを以下に紹介。

どれもグロい部分があります。

こんな感じでテロが生中継されていたみたい。(ヒンドゥー語?)


50分の特集番組(再現もの+実際の映像アリ)(英語)


静止画で、(たぶん)時系列に構成されている。一般人が編集した感じ。

こっちの方がビデオとしての完成度が高いかも。

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2012/04/23

アクセスカウンター19万突破に感謝。

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※またしばらく更新が滞りがちになります(1週間くらい)


トップに設置している忍者Toolsアクセスカウンターが19万を突破しました。
お読み下さっている皆様に感謝です。

2005年12月15日 ブログ始める
2006年11月23日 アクセス01万突破 (344日) 一日平均 29
2007年10月09日 アクセス02万突破 (321日) 一日平均 31
2008年06月21日 アクセス03万突破 (255日) 一日平均 39
2009年01月19日 アクセス04万突破 (212日) 一日平均 47
2009年05月28日 アクセス05万突破 (129日) 一日平均 77
2009年09月06日 アクセス06万突破 (101日) 一日平均 99→11月に世界一周開始
2010年01月06日 アクセス07万突破 (122日) 一日平均 82
2010年02月22日 アクセス08万突破 ( 47日) 一日平均212
2010年04月27日 アクセス09万突破 ( 65日) 一日平均154→5月末に世界一周終了
2010年07月01日 アクセス10万突破 ( 65日) 一日平均154
2010年09月02日 アクセス11万突破 ( 62日) 一日平均161
2010年11月21日 アクセス12万突破 ( 80日) 一日平均125
2011年02月01日 アクセス13万突破 ( 72日) 一日平均139
2011年04月26日 アクセス14万突破 ( 86日) 一日平均116
2011年07月08日 アクセス15万突破 ( 73日) 一日平均137
2011年09月07日 アクセス16万突破 ( 60日) 一日平均167→フィリピン留学記
2011年11月25日 アクセス17万突破 ( 80日) 一日平均125
2012年01月30日 アクセス18万突破 ( 66日) 一日平均152
2012年04月23日 アクセス19万突破 ( 83日) 一日平均120


※合計2321日で19万アクセス突破です。通算平均で一日81.9アクセスということになります。

※ここ数ヶ月、1年近く前に書いた一つの記事(読書感想文に非ず)に、アクセスの4~5%が集中していましたが、そんな状態が解消されたので、アクセス数の伸びが鈍化してきました。

※このブログですが、現在までアクセスアップ対策はまったくと言っていいくらい、何もやっていません。掲載読書感想分の量が多くなり、検索でヒットする確率が上がったので、多くの方に読まれているのだと思います。

※とはいえ、現在の仕事の関係から、これからアクセスアップ対策(SEOと言うヤツですね)を行う可能性があります。


そんな当ブログですが、今後ともご贔屓にどうぞ。

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2012/04/20

橘玲「マネーロンダリング入門」感想。
金融関連新書。2012年04月20日読了。

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マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで

◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
マネーロンダリング(資金洗浄)とは、テロ資金や麻薬・武器密売・人身売買などの犯罪で得た収益を、海外の複数の金融機関を使って隠匿する行為をいう。
本書ではカシオ詐欺事件、五菱会事件、ライブドア事件などの具体的な事例をもとに、初心者にもマネロンの現場が体験できるよう案内した。
専門知識はなにひとつ必要ない。
グローバル化、大衆化したマネロンによって、いまや世界の仕組みが変わりつつあることを読者は知るだろう。

◆感想
著者の橘玲は「たちばな・あきら」と読む。

つい先日、この著者が書いたミステリ仕立ての脱税指南小説「永遠の旅行者(上・下)」を読んだ。

小説自体は個人的にスカタンに近かったが、小説内に出てくる海外送金や合法的脱税テクニックに関する解説部分は驚くほどリアリティがあり、この著者の持っている知識は生半可なものではない、と感じさせるに十分な内容だった。

それで橘玲に興味が湧き、著書をamazonで検索した。

橘玲が書いているのは、小説よりも経済書や生き方指南書のような本が多いことを知った。

中でも本書「マネーロンダリング入門」のamazonレビューが突出して高かった。

で、古本で買ってしまった(恥だ)


古本で買ってしまった本なので細かな感想は書かない。


本書は凄い!


「マネーロンダリング入門」の書名の通り、実際に書かれている内容はかなり単純なことばかりである。しかし、オフショアの知識や、国際株購入や、国際キャッシュカードを海外で使ったことのない人にはさっぱりわけわからない話ばかりである(※)。

単純な話も、幾十にも組み合わさると複雑に見えるのである。

複雑に見える話をシンプルに解説する。


本書は凄い!


9点/10点満点


……10点満点じゃないのは、本書が2006年に出版され、金融情勢的には古くなってしまって今では役にたたない部分があるから。


※私は香港株・タイ株・ロシア株の現物購入や、ドバイやシンガポールの証券会社に口座を開こうと画策したり(キャッシュ不足で口座開けず=最低で100万円以上の事前入金が必要)、世界一周旅行の時は一番効率の良いキャッシュの引き出し方法を研究した。

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2012/04/18

蔵前仁一「わけいっても、わけいっても、インド」感想。
インドアート探求紀行エッセイ。2012年04月17日読了。

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わけいっても、わけいっても、インド

インドの奥地に住む先住民アディヴァシが描くミティラー画。
それを見るため、観光地じゃないインド各地を旅する蔵前仁一夫妻。蔵前氏は出版社「旅行人」の経営者で、雑誌「旅行人」の編集長で、イラスト紀行エッセイスト。

出版社「旅行人」に掲載されている本書の案内

日本にある「ミティラー美術館」公式ホームページ。そこに掲載されているミティラー画と、もう一つの先住民アートワルリー画


世界一周旅行に出発する前に買った本なのに、2年半もほったらかしの積ん読。ようやく読んだ。

本書は半分が写真で、半分がミティラー画のルーツを辿ったりする紀行エッセイ。

インドのコルカタから列車に乗ってビハール州のサマステプルという街に行き、リキシャでバス停に行って、マドゥバニ行きのバスに乗ったけど、川が増水でバスは渡れないから小さなフェリーボートに乗り変え川を渡り、対岸で待っていた乗り合いオートリキシャでラリアスリという街に行き、ここからまたバスに乗ってマドゥバニと言う、ミティラー画発祥の地に着いたのだった。コルカタから19時間の旅だった。

なんていうのを最初の2ページでさらりと書いている。

ビハール州というのはインドの中でも貧しい地域で、マドゥパニでは電線が切れて停電になっても数ヶ月は放っておかれるらしい。でもマドゥパニは停電になれるだけましな地域ともいえる。

と、マドゥパニの人は言っていた。

という、ユーモア溢れる感じで、蔵前夫妻はインドの奥地を「ずんずんずんずん」進んでいく。


本書自体は、インド旅の達人蔵前仁一ですら知らなかった新たなインド(勝手に道案内をしてチップを受け取らない親切なインド人がいるインド)を、魅力たっぷりに紹介されていて、とても面白かったのである。

ただ私はミティラー画という絵画自体にあまり興味を持てなかったため(個人的にはアフリカンアートの方が好みである)、点数をちょっとだけマイナスしてしまったが、インドが好きな人なら堪能できるだろう。


8点/10点満点


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2012/04/16

竹内健「世界で勝負する仕事術」感想。
自伝エッセイ。2012年04月11日読了。

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世界で勝負する仕事術―最先端ITに挑むエンジニアの激走記


◆著者紹介(紀伊國屋Bookwebより)
竹内健[タケウチケン]
1967年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。工学博士。93年、(株)東芝に入社。フラッシュメモリの開発に携わる。2003年、スタンフォード大学ビジネススクール経営学修士課程修了(MBA)。帰国後は、フラッシュメモリ事業の製品開発のプロジェクトマネジメントや企業間交渉ならびにマーケティングに従事。07年、東芝を退社し、東京大学工学系研究科准教授。フラッシュメモリ、次世代メモリの研究で世界的に知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


◆感想

エルピーダが会社更生法を申請した前後、日経BPネットかJBPressかダイヤモンドオンラインかWEDGEか誠Bizか、そこら辺りのビジネスサイト(要は忘れた)に著者のコラムが載っていて、元東芝でフラッシュメモリ開発の最前線にいた著者のそのコラムはやたらと面白く、そういう理由で本書を買いました。

一浪して東大に入って、
大学院に進んで、
研究者になるつもりだったけど東芝に入社して、
当時は冷遇されていたフラッシュメモリの開発に勤しみ、
フラッシュメモリの根幹技術の論文を何本も出し、
東芝社内の留学制度を使ってハーバード大学のMBAを取得して、
iPodのおかげでフラッシュメモリは東芝の半導体の屋台骨になり、
開発チームリーダーになって何千億円もの設備投資を含むプロジェクトを任されて、
でも東芝の社内体質を変えることが出来ず、
そんなとき東大に研究者にならないかと誘われて、
思い切って東芝を辞めて、
東大の准教授になった所までは良かったけど、
研究者ってのは自分で研究費を獲得しなければならないことが分かり、
ぬぬぬ、それならば1年以内に世界で最も権威のある学会に論文を採用させてやると意気込み、
その通り論文が採用され、
そういう努力の甲斐もあり国からプロジェクトが認められ予算がおり、
今は7つの産学協同プロジェクトを手がけているぜ!

って感じのお話。

まあ言ってしまえば自伝です。

大学生あたりが読むと、努力すればグローバルに活躍するなんて意外と簡単、と思ってしまうかもしれない内容です。(※)

良書だと思いますよ。


5点/10点満点

※著者は私より1歳若いんだよね。

※私は大学に行かず高専卒でNECの子会社に入り、私の入ったNECの子会社というのはNEC本社の福利厚生制度が殆ど使えなくて、NEC本社社員は無料で受けられる英語や技術の研修制度も、私の入った子会社には研修制度そのものが無く、ましてや留学制度なんぞ無い。社外の有料セミナーすら行かせてもらえず、スキルを伸ばす手段は皆無。

※初任給こそNEC本社と同じだったけど、入社数ヶ月後の最初の昇給で早くも親子会社間で差が付き(当然子会社の方が低い給料になる)、入社4年後の自分の給料は本社の大学院卒新入社員よりはるかに下だった。

※結局のところ、本書の著者は東大卒&大学院卒の時点で成功者であり、著者の体験談は優秀な学生にのみ通用する話(トレース可能な話)じゃないかな、と思う。

※ま、私が言っているのは負け犬の遠吠えってやつです。

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2012/04/14

橘玲「永遠の旅行者(下)」感想。
経済冒険ミステリ。2012年04月07日読了。

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永遠の旅行者〈下〉


下巻はうんちくの量が少なくなってしまった。

ハワイの会社は登記もインターネット化されているから、ハワイ州の法人検索サイトで会社の名前を入れれば、役員の名前も一発で分かる。

アメリカには5つの貧困地区がある。
アリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、ユタの4州に跨がる南西部(ネイティブアメリカン)
南北ダコタ州に跨がる中西部(ネイティブアメリカン)
テキサス州とメキシコを分かつリオグランデ川沿い(ヒスパニック)
ミシシッピ川周辺州に跨がる南部(アフリカン・アメリカン)
ケンタッキーとテネシー州に跨がるアパラチア山脈一帯(プア・ホワイト)


なるほどなー。


とか言いつつ。
本書は小説です。


肝心の小説部分は……

ハワイやニューヨークの観光案内説明文が満載、中途半端なニーチェの引用、ミステリの重要な部分がいつの間にかあっさりと分かってしまう、登場人物に魅力がない、

などなど、欠点しかない小説です。


節税うんちくを披露するのに、ミステリ小説仕立てにする必要あったのかな?


5点/10点満点


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2012/04/13

橘玲「永遠の旅行者(上)」感想。
経済冒険ミステリ。2012年04月07日読了。

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永遠の旅行者〈上〉


何かの書評で褒めちぎっていたので、平成20年に買った。そのまま積ん読。積ん読本を消化するのである。


相続税を如何に払わないようにするか。
そもそも、税金を如何に払わないようにするか。
そんなテクニックがいろいろ書かれている。

トラベラーズチェックを使えば、海外送金扱いにならないので、国内で儲けた金を(国税局にばれずに)海外に持ち出せる。

日本とアメリカは租税条約を締結しており、アメリカの内国歳入庁(IRS)に依頼すればアメリカ国内での金の動きは捕まれてしまうが、アメリカの税収にならないから、日本からIRSに依頼しても、IRSは真面目に仕事しない。

贈与税の納税義務は5年で時効!(悪質と見なされても7年で時効)

金融機関の不良債権は破綻先、実質破綻先、破綻懸念先、要管理先の4つに分類される。このうち破綻先、実質破綻先は損失の全額を引当金として引き当てなければならない。

全ての税金をちゃんと払った後、10億円持っている男がいる。この男が10億円全額を散在しても、既に税金は払い終わっているので追加で税金を取られることはない。しかし、子供(など)に相続させた瞬間に、最大50%の相続税が発生する。「国家は国民に放蕩を勧め、家族を愛することを罰しているのである」

中国政府はカジノ育成を名目に、マカオに限って人民元の持ち出しを自由化している(いつの話?今も?)


うーむ、参考になる経済うんちくが多数出てくる。


4点/10点満点


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2012/04/12

高野秀行「未来国家ブータン」感想。
探検記。2012年04月04日読了。

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未来国家ブータン


2週間ほど当ブログの更新が滞っていましたが、再開します。


◆本書の紹介(紀伊國屋Bookwebより)
GNPよりGNH、生物多様性、環境立国…今世界が注目する「世界でいちばん幸せな国」の秘密を解き明かす。

第1章 ブータン雪男白書(政府の公式プロジェクトで雪男調査;雪男を捕まえた話 ほか)
第2章 謎の動物チュレイ(天国にいちばん近い村;謎の動物チュレイ ほか)
第3章 ラムジャム淵の謎(遠野は生きている;ラムジャム淵の謎 ほか)
第4章 ブータン最奥秘境の罠(雪男のための保護区;幽霊を怖がってはいけない ほか)
第5章 幸福大国に隠された秘密(未来国家への道;「自由」に苦しまないブータン人 ほか)
ブータン政府公認プロジェクトで雪男探し!!
「あの国には雪男がいるんですよ!」。そのひと言に乗せられて高野氏はブータンヘ飛んだ。雪男を探しながらも、「世界最高の環境立国」「世界で一番幸せな国」と呼ばれる本当の理由にたどりつく。


◆感想

私のイチオシ紀行作家、高野秀行の新刊である。

禁煙国家であるブータンは、本書を読む前まで、GNH=国民総幸福量の話と、民族衣装をまとって農業中心で最近まで鎖国をしていてその姿は古き良き昔の日本みたいな国、という取り上げられ方ばかりで、ヘビースモーカーの私的にはイマイチ魅力のない国であった。(実態の一例として、ブータンでは民族差別を行い、ネパール系ブータン人は難民と化している(ブータン難民を参照))


個人的にはブータンに行くこともないだろうし、ブータンの本は読んだことがないし読む気もなかったけど、高野秀行が書いた本なら別だ。読まなきゃ。


マレーシアでバイオベンチャーの会社を経営している友達の要請で、ブータンで生物資源の調査をすることになった高野秀行。当初はそれほど興味はなかった。

だがしかし、ブータン国立生物多様性センターのプロジェクト主任が「ブータンには謎の生物などいません。でも雪男ならいますよ」という衝撃の告白をさらりと言ってしまったことから、未確認動物(UMA)ハンター高野秀行の心は大きく動かされるのだった。


という出だしからして、高野秀行ファンの心を鷲掴みにする展開である。


空港のあるパロに着き、首都ティンプーへ行き、プナカ、ガサ、ラヤと行き、プナカに戻って、ジャカル、タシガン、ランジュン、メラ、サクテンと行って、ティンプーに戻る。

すげえ、GoogleMapで道も出てないような場所ばかりだ。

ガサ(A)とタシガン(B)だけピンを打ったGoogleMapを作ってみた。

大きな地図で見る


本書に出てくるブータンの人々や暮らしは、ちょっと想像を超えていた。

想像以上に、昔話の日本人みたいな生活をしていた。

そこかしこに民話みたいな話が転がっている。「精霊がいる」「不思議な生き物(チュレイ)がいる」「役場の職員が数年前に雪男に攫われた」

ヒマラヤ山脈の真ん中に位置するブータンの田舎町に行くには、道なき山道を、標高3000m超級の山道を何日も歩かないと行けない。車が通れる道はないから、歩き+荷役動物(馬など)でなければ行けない。そんな場所があちこちにある。

それで(現代の世界経済の中で)生活できていた(例えば山の中に冬虫夏草が採れるので、それを取って中国人と取引している)。


高野秀行の本の面白さは、高野秀行が書くユーモア溢れる文体にあるので、私はその魅力を伝えることはなかなか出来ないのだが、それはさておき、本書は日本で出版されている数少ないブータン本の中でも出色の出来であるとの書評もある(らしい)ので、

いや、実際に読んで、この本は今までの高野本の中でも相当完成度が高いぞ!

と思うのである。

堪能。


9点/10点満点


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2012/04/01

ちょっとお休みのお知らせ

ここ1ヶ月ほど2日に1回のペースで更新し続けてきましたが、読んだ本のストックが無くなってしまったので、しばらく更新が滞ります。(それなりに読み貯まるまで)

よしなに。

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2012/03/30

小松美彦「脳死・臓器移植の本当の話」感想。
生命倫理の書。2012年03月29日読了。

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脳死・臓器移植の本当の話


本書も古本で買ってしまった。感想は少なめに。


◆本書の内容(紀伊國屋bookWebより)

脳死者は臓器摘出時に激痛を感じている可能性がある。
家族の呼びかけに反応することがある。
妊婦であれば出産もできる。
一九年間生き続けている者もいる―。
一般には知られていない脳死・臓器移植の真実を白日の下にさらし、臓器提供者の側から、「死」とは何か、「人間の尊厳」とは何かをあらためて問い直す。
一九九七年に「臓器移植法」が成立して以来、脳死・臓器移植は既成事実となった感が強いが、脳死を人の死とする医学的な根本が大きく揺らいでいるのだ。
脳死・臓器移植問題に関する決定版。

序章 「星の王子さま」のまなざし
第2章 脳死・臓器移植の「外がわ」
第3章 脳死神話からの解放
第4章 「脳死=精神の死」という俗説
第5章 植物状態の再考
第6章 脳死・臓器移植の歴史的現在
第7章 「臓器移植法」の改定問題
終章 旅の終わりに
脳死者をめぐる長年の論争に終止符を打つ論考。

脳死者の臓器提供をめぐる問題に何があるのか? 「臓器移植法」改定を前に、長年の論争の焦点を整理する。生命倫理の本質をえぐった渾身の大作。

「脳死者は臓器摘出時に激痛を感じている可能性がある」「家族の呼びかけに反応することがある」「妊婦であれば出産できる」「19年間生き続けている者もいる」――1997年に「臓器移植法」が成立して以来、日本でも脳死・臓器移植は既成事実となった感が強い。ところが近年、脳死を人の死とする医学的な根本が大きく揺らいでいるのだ! 本書は脳死・臓器移植の問題点を、歴史的、科学的に徹底検証。報道されない真実を白日の下にさらし、「死」とは何か、「人間の尊厳」とは何かをあらためて問い直す。68年に行なわれた和田移植、99年の高知赤十字病院移植の綿密な比較検討から浮かび上がる衝撃の新事実に、読者の目は大きく見開かれることだろう。

◆感想

脳死と判定された人間を、そのままの状態(人工呼吸器をつけた状態)にしておくと、いつの間にか動いている。脳死=死んでいると判定されたにもかかわらず、動くのである。これをラザロ徴候という。

それゆえ、脳死と判定された人間から移植臓器を取り出す際、患者が臓器を取り出されることに抵抗するかの如く見えてしまうため、麻酔をかけることが推奨されている。

このような現象や、その他様々なケースを検証し、著者は「脳死が本当に人間の死と言えるのか」と問いかける。

勉強になる部分多々あり。

このテーマに関心を持っている人なら、読んで損はない。

個人的には、第6章以降「脳死を人の死」とすることに反対的な立場を取る著者が、「脳死を人の死」と認めさせないための強弁が目についた。


8点/10点満点


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2012/03/28

金子達仁「28年目のハーフタイム」感想。
サッカーノンフィクション。2012年03月27日読了。

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28年目のハーフタイム


最近お気に入りのノンフィクションライター(スポーツ系が多い)木村元彦の対談がWebサイトに載っていた。(どこのWebサイトだったか忘れた)

その対談で、「絶対に読んでおくべきスポーツノンフィクション」の一冊に本書が選ばれていた。で、本書も紀伊國屋bookWebで買おうとしたら品切れだったので(私はJALマイルを貯めている関係で基本的に本は全て紀伊國屋bookWebで買っている)、ついamazonの古本で買ってしまった。

税込み450円の本で、amazonに在庫があったにもかかわらず、古本で買ってしまった。当ブログのスタンスが崩れてきてしまっている。


◆内容(紀伊國屋Bookwebより)
1996年夏のアトランタ。
28年ぶりに五輪出場を果たしたサッカー日本代表は、ブラジル戦での奇跡的な勝利で世界中を沸かせた。
だが、躍進の陰で矛盾と亀裂を抱えたチームは、続くナイジェリア戦のハーフタイムで、ついに崩壊する。
日本サッカーの苦悩に肉迫した、スポーツ・ドキュメンタリーの新しい金字塔。

第1章 奇跡と真実―’96・7・21マイアミオレンジボウル・スタジアム 日本オリンピック代表‐ブラジル・オリンピック代表
第2章 西野朗の告白―’96・11・8バルセロナ
第3章 ハーフタイムの出来事―’96・7・23オーランドシトラスボウル・スタジアム 日本オリンピック代表‐ナイジェリア・オリンピック代表
第4章 中田英寿の肖像
第5章 経験というタマゴ
第6章 川口能活の叫び
第7章 キャプラン・前園真聖
第8章 祝祭の終わり―’96・7・25オーランドシトラスボウル・スタジアム 日本オリンピック代表‐ハンガリー・オリンピック代表
第9章 アウダイールの笑顔―’97・4・3ローマ
第10章 ジェネレーションA―’97・5・21東京国立競技場 日本代表‐韓国代表
世界中を騒然とさせた'96年アトランタでのブラジル戦勝利。だが、その背後で中田、川口らを擁する代表チームの亀裂が深まっていた


◆感想

最初の数ページを読み始めたら止められなくなってしまったので、かなり面白いノンフィクションです。

文章が上手いですね。

このブログが興味深し。


9点/10点満点


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2012/03/26

ノジュオド・アリ/デルフィヌ・ミヌイ「わたしはノジュオド 十歳で離婚」感想。
自伝的ノンフィクション。2012年03月21日読了。

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わたしはノジュオド、十歳で離婚


2010年に液晶テレビを買った際、エコポイントで大量の図書カードが手に入ったから、それでたくさん本を買ったんだよなあ(3万円分)。でもそのとき買った本、まだまだ多くが積ん読のままだよ。本書も。


◆内容(私が要約)

イエメンの田舎、ワディ・ラー谷の傍、電気も水道もなく石の家が5軒あるだけのカラディジ村に生まれた少女ノジュオド。父も母も文字が読めず、公式な出生届など出していないため、母親の記憶を頼りに導き出されたノジュオドの年齢はたぶん十歳(これはいつの時点だろう?)。母親は16人も子供を産んだ。ノジュオドが知らない兄姉や、死んでしまった兄姉もいるらしい。

学校は片道2時間かかるため、文字を読めない両親は、女であるノジュオドは学校に行く必要がないと決めつけていた。

ある日、父親が村でいざこざを起こし、一家揃って村を出て首都サナアのスラム街に移り住むことに(これがノジュオド2~3歳の頃)。

サナアでノジュオドは学校に通い始めた。

しかし、失業が深刻なイエメンでは父親は稼ぐことが出来ず、子供達は路上でガムを売ったり、お金を恵んでもらっていた。

ある日ノジュオドは突然30代の男と結婚することになった。父親同士が決めた結婚だった。イエメンでは家長(父親または長男)の言うことは絶対なのである。さらにイエメンでは、初潮を迎える前の幼女を嫁に出すことは珍しくないそうだ。しかし、いくら妻になったとはいえ、初潮を迎えるまでは手を出すな、という条件付きである。

学校を辞めさせられ、嫌々ながら、泣きながらノジュオドは夫の家に行った。そこは生まれ故郷のカラディジ村だった。夫はノジュオドと無理やり性交した。さらに、姑はノジュオドに「外に出るな」「夫の言うとおりにしろ」と言いつけ、破ると殴られた。

ノジュオドは自分の家族に会いたいとだだをこね、サアナに来た。

そして、自らの決意で裁判所に赴き、裁判官に離婚を訴えた。十歳の幼女を犯すことは、男性が家長を務め、女性が蔑ろにされがちなイエメンであっても、異常なことだった。裁判官は親身になり、イエメンの女性弁護士シャーダーとの出会いもあり、ノジュオドは離婚に向かって夫と、(結婚契約を取り交わした)自分の父親を訴えることにした。(注:さすがにイエメンでも十歳の女性の結婚は許されていないので、父親同士で交わした結婚契約書で、ノジュオドの年齢を十三歳と偽っていたから、父親も訴えることになった)

これが2008年の話。

食べることよりもメンツを重んじるイエメン社会では、かつて無い出来事だった。


◆感想

10歳の幼女が離婚を申し出たことは、さすがのイエメン社会でも大きくニュースになったそうだ。本書は、そのニュースを聞き、取材に飛んだフランス人(とイライン人のハーフ)ジャーナリスト、デルフィヌ・ミヌイが、ノジュオド本人から聞いた話を、本人が書いたような感じで構成したノンフィクションである。

自分の年齢も正確に分からないノジュオドの話が元になっているので、ところどころ?となる部分もあるし、子供が書いた体裁を取るためか、漢字で書いた方が分かり易い単語をひらがな表記しているなど、大人が読むには違和感を感ずる部分もあるけど、イスラム社会の中でも特殊と言われているイエメンの側面を伝える良書である。

この離婚騒動の勇気ある行動に対して、ノジュオドは「Glamour」誌が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008」を受賞したんですって。

で、もっともっと勉強したいと思っているノジュオドのために、本書の印税は全てノジュオドに渡るようになり、本書がベストセラーになったもんだから、ノジュオドは自分の家を買い、相変わらず働き場所のない父親は、自分を訴えたノジュオドを疎ましく思いつつも、家族揃って暮らしているのだとさ。


ノジュオドのケースはハッピーエンドだったけど、同様のケースは世界中にあるので、これから人権団体はどのような活動をするのでしょうかねえ。

親同士が結婚を決めるのが当たり前という国(インドやイスラム諸国など)と、
親が結婚を決めるなんて子供の人権無視である、自由恋愛が当たり前という国(先進諸国ですな)、

この二つの間にある溝は、そう簡単に埋まらないと思うのだけれども。(結婚適齢期が何歳かってのは、また別の問題)


※メモ

「碧空」というブログより、イエメンの児童強制結婚 日本女性の社会的地位

LosAngels Times の記事 YEMEN: The child bride who sought a divorce and dared to dream big


7点/10点満点


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«早田英志・釣崎清隆「エメラルド王」感想。
コロンビア在住日本人の伝記。2012年03月19日読了。