2017/06/30

ティム・マーシャル/甲斐理恵子訳「恐怖の地政学」感想。
地政学。2017年06月19日読了。

原題は「Prisoners of Geography」なので、「地理学の囚人たち」という意味になる。最近日本では地政学の本が流行っているのでこのようなタイトルになったのだろう。とはいえ、「恐怖の」の意味が分からない。なんでこんな邦題なのだろう?

本書は下記各章のようにエリア別に、「地形(地図)」が政治や民族構成、紛争に与える影響について、各章おおよそ30ページとコンパクトにまとめられている。

第1章 中国
第2章 ロシア
第3章 日本と朝鮮半島
第4章 アメリカ
第5章 西ヨーロッパ
第6章 アフリカ
第7章 中東
第8章 インドとパキスタン
第9章 ラテンアメリカ
第10章 北極圏

全世界で起こっている紛争の原因を読み解くカギとして、地形がある。

中国とベトナムは何度か戦争をしているが、それは平地で両国がつながっているから。
中国と隣接するラオスやミャンマー、インドやパキスタン、アフガニスタンとの間には、山脈が挟まっている。
インドの侵攻を阻止するため、チベット高原は中国にとって必須の土地である。なので、現在の政治体制が続く限り、チベットが中国(漢民族)から解放されることは無い。

ヨーロッパがロシアに攻め入るには、モスクワまでは行けても、そこから先はウラル山脈に阻まれる。
ロシアはだだっ広い土地を持っているが、不凍港は(日本に近い)ウラジオストクなど数か所だけである。カリーニングラードという飛び地(リトアニアの下)があるが、ここから大西洋に出るには、バルト海を抜け、デンマークとスウェーデンの間にあるエーレスンド海峡を通らなければならない。ウクライナのクリミア半島を強奪したが、ここから大西洋に出るには、トルコのボスポラス海峡とダーダネルス海峡を抜け(ここでようやくエーゲ海)、ここから地中海を通り、スペインとモロッコ(&イギリスの飛び地ジブラルタル)に挟まれたジブラルタル海峡を抜けないと出られない。ちなみにシリア紛争に肩入れしているのは、シリアに借りているタルトゥース港を確保したいからと言われているが、ここも地中海に面しているので、結局のところジブラルタルを抜けない限りロシア海軍の動きは制限されたままどうにもならない。だからロシアがソ連だったころ、アフガニスタンを占領し、その後イランかパキスタンンと同盟を結んでインド洋に面した港を確保したかった。

南アメリカ大陸の沿岸部は浅瀬が多く、水深の深い良質な港がほとんどない。これは貿易を行うのに重大な欠点になる。

現代トルコとイランは今まで一度も仲良くなったことが無い不倶戴天の敵である。


などが結構わかりやすく書かれている。

地政学初心者が読んでも十分理解できると思う。邦題以外は良書。


8点/10点満点

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2017/06/20

矢吹晋「文化大革命」感想。
現代中国史。2017年06月13日読了。

毛沢東が主導し、1966年から1976年まで続いた中国の文化大革命。

それを、現代中国を研究している著者が1989年に振り返った本。Amazon先生のレコメンドサービスで表示されたので、そのまま古本で購入。

読む前は、文化大革命を全体的に説明した本なのかと思っていたがそうではなく、文化大革命がどういう事態だったのかそのあらましを知っている人に向け、詳しい分析を行っている本だった。

私が読むには早すぎた。もっと初心者向けの本から入らなければ。


私の知識がこの本を読むレベルに達していないので評点つけられず。

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2017/06/13

前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」感想。
エッセイ。2017年06月12日読了。

アフリカのサハラ砂漠周辺国では、しばしばバッタやイナゴの大発生で農作物に被害が出る(蝗害=こうがい)。

著者は、バッタの研究で生計を立てたいと考えているポスドク(博士号を持っている)で、2年間の有期研究費支援を得て、サバクトビバッタの研究のため、2011年にアフリカのモーリタニアに移り住んだ。

モーリタニアの場所は下の地図をご覧ください。

本書は、モーリタニアで暮らした3年間の出来事(フィールドワークの方法等)と、研究費を獲得するためにいろんなことをしなければならずポスドクというのはとても大変なのですということを、何ごとも前向きに捉え、極めて明るく綴ったエッセイである。

バッタ研究の成果を記した本ではない、エッセイである。

バッタ研究者がなぜエッセイを書くのかというと、バッタに特化した研究費を獲得するためには、自分の研究はアフリカのバッタ被害を減らすために重要なのであるということを(研究費を配分する偉い人に)知ってもらわねばならない、それには普段の広報活動が大事である、セルフプロデュースである、ということでまずはブログを書き始め、それがなかかな好評で、ニコニコ超会議にお呼ばれしたりいろんなことをやっていたら、人脈が広がって出版に至ったのだそうだ。

文章が軽妙で、ツボにはまるととても面白い。私はツボにはまった。Amazonレビューを見るとツボにはまらなかった方もいるようで、こういうのは好き嫌いなのでしょうがない。


9点/10点満点


※次回更新は6/20頃の予定です。

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2017/06/12

永田和宏「人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理」感想。
ブルーバックス。2017年06月05日読了。

立ち読みしてから買ったのだが、ちょっと思っていたのと違う内容だった。

昔日本で使われていた、たたら炉は木炭を用い、ふいごを使って酸素を送り込むことで高温を発生させる。鉄は鉄鉱石ではなく砂鉄を用いるので、砂鉄が良くとれる川岸に近い場所に炉があった。

炉の高さは○○cm、幅は〇〇cm、地上から○○cmの所に羽口という空気綱がありそこから空気(酸素)を送り込む。炉が温まってから砂鉄〇gと石灰〇gを入れ、2時間経ったら木炭〇gと砂鉄と石灰を追加投入。これを2時間ごとに繰り返し…

というようなことが書かれている本。

著者が書きたかった内容と、私の知りたいことが異なっていたので評点はつけません。

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2017/06/11

坂本勉「トルコ民族主義」感想。
トルコ民族史。2017年06月02日読了。

現代トルコはどのようにして形成されていったのか。

本書ではそのルーツを言語、文化を中心に遡り、オスマントルコ(1299-1922年)ができる遥か前、中国の古文書に出てくる文言を参照し、現在のモンゴルあたりに住んでいた5世紀末のテュルク系民族「鉄勒」(てつろく)に祖を発し、そのテュルク系民族は中央ユーラシアに進出し「突厥」(とっけつ)となり、西暦1000年頃にイラン(セルジューク朝)、現在のトルコ・アナトリア地方に進出(ルーム・セルジューク朝)、

イランに移り住んだテュルク系(=トルコ系)民族は、言語としての完成度が高かったイランのペルシャ語を用い、イスラム教シーア派文化が発達、

アナトリアに移り住んだテュルク系民族は、ペルシャ語ではなくトルコ語を言語として発展させようという機運が生まれ、言語学者が奮闘し、トルコ語の完成度を高めていった。

イランの近くにあるアゼルバイジャンでは、更に別の系統の文化が進化し、

トルコ民族が、キリスト教国家であるアルメニアをどのように懐柔し取り込んでいったのか、

そしてオスマントルコが滅亡した後の現代トルコは、どのように国づくりを進めていったのか。

などについて書かれている。良書。


7点/10点満点

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2017/06/10

国枝昌樹「シリア アサド政権の40年史」感想。
シリア現代史。2017年05月27日読了。

2006‐2010年に駐シリア日本大使を務めていた著者のシリア分析。アラブの春がシリアにも飛び火し、シリアが内戦状態に陥った、だがISIS(イスラム国)が台頭する前の2012年に出版された。氏の本は3冊読んでいる。

「報道されない中東の真実」2014年12月14日読了。10点満点
「イスラム国の正体」2015年10月05日読了。5点
「「イスラム国」最終戦争」2016年09月09日読了。5点

氏の主張は、シリアに関して欧米の報道をそのまま垂れ流すいいかげんなものが多い、大使としてシリアに4年住み培ってきた人脈を活用し、シリアの動静をきちんと伝える、というスタンスである(と思う)。だがこのスタンスは、アサド政権を庇い過ぎているとして、一部ジャーナリストが著者のことを批判している。

本書は、ISISが台頭する前だが、アラブの春を契機として内戦に陥ったシリア、その状況を俯瞰するとともに、先代の父ハーフェズ・アサド大統領と、現在の息子バシャール・アサド大統領のとった政策等について概略を書いている

シリアの政権はアサド一族も含めてイスラム教アラウィ派で固められている。しかし、いろいろイスラームの本を読んだが、アラウィ派というのは歴史上ほとんど出てこない。イスラム教の一派ではないと言い切る本もあった。

p88
「アラウィ派は、歴史的にイスラム教社会で異端的な存在として繰り返し迫害を受け、そのため彼らは山岳地帯に逃れ住んでいた。(中略)
 アラウィ派が一応イスラム教シーア派に属するとみなされるのは73年にハーフェズ・アサド大統領がレバノンのシーア派指導者ムーサ・サドル導師からその旨の裁定を得たからである。アラウィ派の人々は彼らが社会のくびきから解き放たれたのはハーフェズ・アサド大統領のお陰だという」

なるほど、そうだったのか。


本書は現代シリアの大統領を中心に書かれているが、イスラエルやエジプト、イランとの関係も書かれているので、シリアを中心に据えた現代中近東情勢として捕らえた方が良い。

タイトルで損をしている気がする。


7点/10点満点

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2017/06/09

松本仁一「空はアフリカ色」感想。
エッセイ。2017年05月20日読了。

朝日新聞ナイロビ支局長だった著者のアフリカ暮らしエッセイ。1987年に出版された。30年前の本なので、現在とは異なるアフリカが書かかれている。

タンザニアとケニアは、1977年から1983年まで国境が閉鎖されていた。
→昔は仲が悪かったんだ。

ウガンダでは1972年にアミン大統領が「神のお告げ」という理由でインド人を全員追放した。
→インド人は商売がうまいもんね。

ナイロビ郊外クワンガレの平均月収は7‐8000円。
→30年前にそんな月収稼いでいたの?!

モザンビークの1970年代の最高学歴は、小学校を終えた後に看護学校を出ること
→今は国連ミレニアム計画で少しはましになっていると思われる。

ケニアのケニヤッタは独立闘争の英雄だったが、大統領に就いたらあっけなく腐敗した
→権力者の腐敗はアフリカ諸国に限った話じゃないけど、多いのは間違いない。

1914年(第一次世界大戦がはじまった)頃、タンザニアのザンジバル島(独立国だった時期もある)に日本の娼館があった。ということを1900年生まれの爺さんが語っている。
からゆきさん、と呼ばれる悲しい話である。


7点/10点満点

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2017/06/08

福井勝義/大塚和夫/赤阪賢「世界の歴史24 アフリカの民族と社会」感想。
歴史。2017年05月16日読了。

タイトル通りの内容。

世界の歴史シリーズは何冊か持っているが、必要な箇所だけ参考程度に読むことが多く、通しで全部読んだのは初めて。

このシリーズは文庫版も出ているが、文庫版の図版がモノクロなのに対し、単行本版はカラー印刷。なので、単行本の置き場所がある方は、単行本版を買われることをお勧めする(こういう全集モノにありがちな話として、毎月一回配本されるので気楽に買ってみたものの、気が付いたら置物と化してしまったので二束三文で古本屋に売られることが多い→つまり単行本版は古本で安く手に入る)。

本書は大きく3部構成
・自然と民族
・王国が多数あった昔のアフリカ
・アフリカのイスラーム

北アフリカとエチオピア、エリトリアを除くアフリカ諸国では、文字をもたない言語が使用されていたため、歴史を遡ることが大変難しい。口頭伝承を丹念に拾い集めることと、遺跡を調べることしか手段がない。世界各国の民族学者がアフリカを研究しているが、まだまだ不明な点も多い。

本書の執筆者は3人なので、アフリカのすべてを網羅しているわけではない(と思われる)が、アフリカの歴史に関する新古典の一冊として読むにはちょうど良い。


7点/10点満点

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2017/06/07

大西健丞「NGO、常在戦場」感想。
自伝。2017年05月03日読了。

イラクのクルド人支援などを行っているNGO主催者の半生録。

後半は国のODA案件を握る鈴木宗男とのバトル。

ODA案件にしたら数十億円~数百億円になる話なのに、NGOが数千万円の資金でウロチョロしやがったら迷惑だ、的な展開。

なかなか興味深く読めました。

7点/10点満点

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2017/06/06

国本伊代「概説ラテンアメリカ史」感想。
歴史。2017年04月30日読了。

タイトル通りの内容の本。ここでいうラテンアメリカには、カリブ海の島国も含まれる。大学の教科書として書かれたような内容。

ラテンアメリカに到達したヨーロッパ人(ポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン)は、そこに暮らす人々の文化を破壊し、奴隷のように酷使し、人口を激減させた。

本書ではヨーロッパ人による侵略の歴史をひも解くと同時に、統治方法についてもかなり詳しい説明がなされている。

p113
1808年委ポルトガルの王室と支配層がナポレオンの侵略を逃れてブラジルに渡り、ポルトガルの首都をリオデジャネイロに移した(1808年-1821年)

へえ、そうなのか。全然知らなかった。


とてもためになる歴史の本です。


8点/10点満点

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2017/06/05

トーマス・フリードマン/マイケル・マンデルバウム/伏見威蕃訳「かつての超大国アメリカ」感想。
アメリカ分析。2017年04月23日読了。

タイトルの通り、アメリカが凋落していった理由を考える本。原著は2011年に出版。

この本で最も面白かった考え方は、アンディ・ケスラーという元ヘッジファンドマネージャーが呈した概念で、

p121
「ブルーカラー、ホワイトカラーという区分は捨てよう。私たちの経済には二種類の労働者しかいない。クリエイターと仕える人(サーバー)だ。生産性を向上させる原動力は、クリエイターだ。ソースコードを書き、マイクロチップを設計し、癖になる商品(ドラッグ)を作り、検索エンジンを運営する。一方サーバーは、家を建て、食べ物を提供し、法的助言を行い、陸運局で働いて、そういったクリエイター(や他のサーバー)に奉仕する。サーバーの多くは機械、コンピュータ、ビジネスの運営方法の変更に取って代わられるだろう」

ここから著者は、クリエイターとサーバーをさらに分割する。

・創造的(クリエイティブ)クリエイター:独自のノンルーチンなやり方で、ノンルーチンの仕事をやっている:最高の弁護士、最高の会計士、最高の医師、最高のエンターテイナー、最高の作家、最高の教授、最高の科学者。

・ルーチンクリエイター:ルーチンなやり方で、ノンルーチンな仕事をやっている:平均的な弁護士、平均的な会計士、平均的な放射線技師、平均的な教授、平均的な科学者。

・クリエイティブサーバー:ノンルーチンの仕事をやる低スキルの労働者だが、的確な基地とした仕事をやっている:特別なレシピを考え付くパン屋、患者との関係性を大事にする看護師、ワインの知識で客をうならせるソムリエ。

・ルーチンサーバー:ルーチンなやり方でルーチンなサービスを提供し、それに何も付け加えない人。


医師、弁護士、ジャーナリスト、会計士、教師、教授のような仕事であっても、ルーチンクリエイターの範疇にいる人たちは、海外へのアウトソーシング、機械化、デジタル化で職を失うかもしれない。


著者は、アメリカを凋落から救うには「教育の充実」が必要であると訴える。

全体的に説得力も高く、なかなか面白い本であった。

8点/10点満点

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2017/06/04

坪田一男「あなたのこども、そのままだと近視になります。」感想。
医学。2017年04月12日読了。

近視は眼鏡で矯正できるし、LASIKなどの外科手術でも矯正できるので、眼科医は近視の原因を調べることに手を出してはいけないのだそうだ(暗黙の了解事項)。

慶応大学医学部眼科教授の著者は、いろいろあって近視の原因の調査に乗り出した。

医学的に明確な根拠があるのは、「毎日屋外で2時間以上遊んでいる子供は近視になりづらい」

これを動物実験で調べていったところ、「紫外線に近い波長の可視光線」を浴びると近視になりづらい、というところまでわかってきた。

この「紫外線に近い波長の可視光線」は、メガネにコーティングされているUVカット機能で、カットされてしまう波長。なので、ちょっとだけ近視の子供がメガネをかけて毎日屋外で2時間遊んでも、近視は進んでしまう。

へえー、なるほどなあ。

と思うのだけれども、本書はやっつけ仕事で書かれた感じがありありとしていて、まとまりが無さ過ぎ。残念な本。


3点/10点満点

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2017/06/03

モイセス・ナイム/加藤万里子訳「権力の終焉」感想。
政治・近未来。2017年04月08日読了

世界中のいたるところで、権力は衰えてきている。

政治の世界では、国連はもうあまり機能していない。
国の最高権力者(大統領や首相)も、かつて(第二次世界大戦の頃)ほどの権力はない。
上場企業の経営者は、四半期決算、年度決算、配当に縛られ、かつて(オイルショックの頃か?)ほど自由に商売ができなくなっている。

民主主義が行き過ぎると、小さな主張だけを取り上げる小さな政党が多数生まれ、絶対多数が生まれにくくなる(例として、2009年のインドでは実に35もの政党が議席を得ていたとのこと)

資本主義が行き過ぎると、株主の言うがまま利益を求める無分別な企業が増える。(例外はいる。Amazonのジェフ・ベゾスやテスラのイーロン・マスクなど)

そういうような趣旨のことを膨大な傍証とともに描かれたのが本書であるが、いまいちピンとこなかった。


6点/10点満点

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2017/06/02

田中真知「へんな毒 すごい毒」感想。
毒の解説。2017年03月27日読了。

読み終えた本が貯まったのでブログ再開します。

本書の著者田中真知さん(男性)は、アフリカのコンゴ川の川下りなど冒険も行う旅行作家兼サイエンスライター兼翻訳家の方です。というか、本書で初めてサイエンスライターもやっていることを知りました。

氏の本は「たまたまザイール、またコンゴ」2015年07月10日読了。など数冊読んでいます。


本書は毒に関して広く浅く解説している本。なかなか興味深く読みました。

毒はざっくりと、植物由来のもの(化学物質)、動物由来のもの(化学物質)、動物(細菌やウィルス)、鉱物由来や人工生成されたもの(ヒ素やVXガスなど)に分けられ、毒の強さは半数致死量(LD50)という数値で表される。

人工毒で最も強力なのはVXガス。LD50は0.015mg/kg (/kgは体重1kgあたりを示す。体重60kgの人間なら数値を60倍する)

サリンは0.35mg/kg

フグのテトロドトキシンは0.01mg/kg

破傷風菌が出す毒素テタノスパスミンが0.000002mg/kg

ボツリヌス菌が出す毒素ボツリヌストキシンが0.0000003mg/kgで地上最強の毒。

フグの毒テトロドトキシンはフグが生成しているのではなく、フグの体内にいる緑膿菌という細菌が出していることが研究の結果分かった。緑膿菌は、フグの餌であるカニやヒラムシに寄生しており、それを食べることでフグの卵巣や肝臓にテトロドトキシンが濃縮されるのだそうだ。さらに言えばカニやヒラムシは緑膿菌が付着しているプランクトンを食べている。

なるほどなあ。


6点/10点満点

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2017/04/24

ダヨ・オロパデ/松本裕訳「アフリカ 希望の大陸」感想。
アフリカ経済。2017年03月24日読了。

アフリカ経済に関する前向きな情報が満載の、とても良い本でした。

著者はナイジェリア系アメリカ人(親が移民)の女性ジャーナリスト。本書の原著は2014年に出版され、日本語版は2016年8月に出版。日本語版出版までに時間がかかっているため、本書に書かれているサービスのうち既に廃止に追い込まれているのもあり。

本書ではナイジェリアの公用語の一つヨルバ語の「カンジュ」という言葉をキーワードに設定し、アフリカ経済の行動様式を「カンジュ」で説明しようと試みています。「カンジュ」とはヨルバ語直訳で「焦る」「急ぐ」という意味。意味合いとしては「精を出す」「努力する」「ノウハウ」「やりくり」といったことになるとのこと。

非常に面白かった。が、あまりにも楽観的過ぎるので私的な評価は9点。


9点/10点満点


以下、つらつらと付箋をつけたところを列挙。

P21
2007年のケニアの大統領選挙で、キバキ派(キクユ族)とオディンガ派(ルオ族)に国内が分断され、暴力が渦巻き1200人の死者を出す事態になった。ケニアはアフリカの中でも(旧宗主国イギリスの流れを汲む)民主主義優等生と思っていた西欧の人は皆驚いた。TVやラジオなどマスコミは傍観していた。それに怒ったたケニアのソフトウェア技術者が、暴力行為を発見したら即座にマッピングできる「ウシャヒディ」というソフトを立ち上げた。そして秩序は回復に向かった。

「ウジャヒディ」は世界中に広がった。パレスチナのガザの混乱を監視し、スーダンや南米の選挙を監視し、
豚インフルエンザの蔓延を追跡し、メキシコ湾原油流出事故で流れ出た石油を監視した。


P39
アフリカでいちばん裕福なナイジェリア人のアリコ・ダンゴート
→調べたら、セメントで財を成した2兆円以上の超金持ちだった。


P41
スーダン生まれの億万長者で国際通信会社セルテルの創業者モハメッド・イブラヒム
→調べたら、この人も1000億円の桁の金持ちだった


P49
ナイジェリアは世界で2番目に映画が多く作られていて(私は知っていた)、オンライン配信はナイジェリアのNetflixといわれる「iROKOtv」という会社が最大手。ナイジェリア出身者で他国に出稼ぎに行っている人は多く、異国でこのサービスを楽しんでいるナイジェリア人も多いのだとか。


P93
1997年、ナイジェリアの繊維産業では137,000人が働いていた。6年後、57,000人にまで激減した。「太った国(=アメリカ)」からの善意の古着の寄付によって、繊維産業が壊滅してしまった。「善意の無償寄付」とは勝負にならない。

太った国の善意により、マラウィ最大の繊維メーカーが閉業した。エチオピアとエリトリアでは古着の輸入を禁止した。

サハラ以南で最大の綿生産国であるマリでは、国内では1枚もTシャツを生産していない。


P104
国連という、アフリカの普通の人にとっての部外者が勝手に立てたミレニアム開発目標で、万人の初等教育を充実させる、というのがある。

アフリカ各国は目標到達に尽力した。目標を達成したら国連からいろんな金がもらえるから。

その結果、「給料がろくに支払われない教師たちが」 「(教師なのに)学校に来なかったり」 「退屈で時代遅れのカリキュラムすら教えることができない」 という事態に陥った。

→その結果として、本書の違うページで、アフリカのスラム街で「1か月5ドル」の私立小中学校に入学させる親が滅茶苦茶増えているとのこと。こういう私立学校が保証するのは「教育の質」。やる気のない教師がいる公立学校(一応無料)よりも、金を払ってでも教育の質が高い学校に通わせる親が多いのだとか。

→P215に続報的に書かれていて、ケニアのスラムの40%、DRCコンゴの71%、ナイジェリアのラゴス州の3/4、ウガンダの中学校5600のうち4000が私立。


P125
アフリカ諸国では、隣人の噂、評判がかなり重要な情報源になる。これを「近傍情報」と呼び研究したところ、「xxさんはこの時期に種を撒いて大豊作だった」的な情報が集まった。

これってビジネスになるんじゃね?


P138
アフリカの優等生と言われているボツワナ。国債の格付けも高い。
しかーし、官僚の主要ポストはカーマ大統領の親族が占めている!!! マジで!!!


P140
頭脳流出について、まあ普通に優秀なアフリカ諸国の人たちはアメリカを目指す。
スーダン人はアトランタ。
ソマリ族はミネアポリス。
エチオピアとエリトリアはワシントンDC。
フランス語圏アフリカ人はニューヨーク。

→へえー。そうなんだ。つまり逆を言えば、そういう国とコネを持ちたいときはアメリカのそういう都市に行けばいいのね。


P145
ソマリア発祥の国際送金サービス「ダハブシール」。現在144か国で国際送金ができるとのこと。

→この手のサービスはウエスタンユニオン銀行(日本の代理店は大黒屋)しか知らなかったが、やっぱりこういう送金サービスってのは需要がすごいんだなあ。


P149
アルセロール・ミッタル(世界最大の鉄鋼会社。インドのミッタルスチールが買収に買収を重ねた結果出来た会社)がリベリアのグランドバッサ郡に拠点がある。

→西アフリカだって鉄鋼需要はあるんだろうけど、リベリアに工場があるというのは意外だった。


P170
Mペサ(知らない人はググってください)の成功を受けて、同様のサービスが世界中で広まった。

パガ、エコキャッシュ、スプラッシュモバイルマネー、ティゴキャッシュ、エアテルマネー、MTNモバイルマネー。

中でもセネガルのワリという会社は22カ国で使えるサービスを開発した。


P184
南アフリカで最大のSNSは「Mxit」。5000万人以上が利用している

→2017年3月に調べたら潰れていた


という話がまだまだたくさん載っているんだけど、書き飽きたのでこれでおしまい。

興味がある人は本書を定価で本屋から買って読んでください。(じゃないと翻訳者に印税が1円も入らない→こういう本を翻訳してくれる人が減る→日本語では情報入手が遅れてしまう→冗談抜きで日本国経済の危機)

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2017/04/12

アクセスカウンター41万突破に感謝。

トップに設置している忍者Toolsアクセスカウンターが40万を突破しました。
お読み下さっている皆様に感謝です。

2005年12月15日 ブログ始める
2006年11月23日 アクセス01万突破 (344日) 一日平均 29
2007年10月09日 アクセス02万突破 (321日) 一日平均 31
2008年06月21日 アクセス03万突破 (255日) 一日平均 39
2009年01月19日 アクセス04万突破 (212日) 一日平均 47
2009年05月28日 アクセス05万突破 (129日) 一日平均 77
2009年09月06日 アクセス06万突破 (101日) 一日平均 99→11月に世界一周開始
2010年01月06日 アクセス07万突破 (122日) 一日平均 82
2010年02月22日 アクセス08万突破 ( 47日) 一日平均212
2010年04月27日 アクセス09万突破 ( 65日) 一日平均154→5月末に世界一周終了
2010年07月01日 アクセス10万突破 ( 65日) 一日平均154
2010年09月02日 アクセス11万突破 ( 62日) 一日平均161
2010年11月21日 アクセス12万突破 ( 80日) 一日平均125
2011年02月01日 アクセス13万突破 ( 72日) 一日平均139
2011年04月26日 アクセス14万突破 ( 86日) 一日平均116
2011年07月08日 アクセス15万突破 ( 73日) 一日平均137
2011年09月07日 アクセス16万突破 ( 60日) 一日平均167→フィリピン留学記
2011年11月25日 アクセス17万突破 ( 80日) 一日平均125
2012年01月30日 アクセス18万突破 ( 66日) 一日平均152
2012年04月23日 アクセス19万突破 ( 83日) 一日平均120
2012年06月24日 アクセス20万突破 ( 62日) 一日平均161
2012年08月28日 アクセス21万突破 ( 65日) 一日平均154
2012年11月01日 アクセス22万突破 ( 65日) 一日平均154
2013年01月20日 アクセス23万突破 ( 81日) 一日平均123
2013年03月22日 アクセス24万突破 ( 60日) 一日平均167
2013年05月27日 アクセス25万突破 ( 66日) 一日平均152
2013年07月18日 アクセス26万突破 ( 52日) 一日平均192
2013年09月07日 アクセス27万突破 ( 51日) 一日平均196
2013年11月06日 アクセス28万突破 ( 60日) 一日平均167
2014年01月10日 アクセス29万突破 ( 65日) 一日平均154
2014年03月22日 アクセス30万突破 ( 71日) 一日平均141
2014年06月09日 アクセス31万突破 ( 79日) 一日平均127
2014年08月17日 アクセス32万突破 ( 69日) 一日平均145
2014年11月19日 アクセス33万突破 ( 94日) 一日平均106
2015年02月20日 アクセス34万突破 ( 93日) 一日平均106
2015年06月 頃  アクセス35万突破 カウントするのを忘れていました。
2015年09月15日 アクセス36万突破 ( ??日) 一日平均 97
2016年01月05日 アクセス37万突破 (112日) 一日平均 89
2016年04月20日 アクセス38万突破 (106日) 一日平均 94
2016年08月12日 アクセス39万突破 (114日) 一日平均 88
2016年12月14日 アクセス40万突破 (124日) 一日平均 81
2017年04月09日 アクセス41万突破 (116日) 一日平均 8286

ブログを開始してから4133日で41万アクセスを突破、1日平均99.2アクセスです。

今後ともご贔屓にどうぞ。

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2017/04/08

橘玲「バカが多いのには理由がある」感想。
ビジネス書?2017年03月17日読了。

橘玲氏は多数のWeb連載を持っていて、着想がどれも面白く、私はいつも楽しみにしている。

橘玲公式サイト(週間プレイボーイ連載)
ZAI ONLINE の日々刻々

など。

本書はそういうエッセンスが詰まったものなのだが、もともと単行本で出版された本の文庫化なので、Web連載とは異なり時事性が薄いため、面白さが半減してしまっているかもしれない。悪くはないです。

2カ月前に紹介した「ファスト&スロー」は、橘玲氏が褒めていたので読んだことを思い出した。


6点/10点満点

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2017/04/07

山内昌之・他「中東とISの地政学」感想。
中東分析。2017年03月15日読了。

本屋で立ち読みしたら面白そうに思えたので買った。

18人の中東専門家がバラバラに書いた小論文集。

各執筆者が同時期に原稿を書いたのか、同じようなことが重複して書かれているし、政治分析に関係のないエッセイも混ざっているし、まとまりはないし、うーん。

巻末に載っている35ページの対談
 山内昌之(明治大学特任教授・東京大学名誉教授)
 宮家邦彦(キャノングローバル研究所研究主幹)
 中川恵(明治大学客員教授・羽衣国際大学教授)
が最も有意義な読み物であった。

うーん、中途半端すぎて困る本だ。


6点/10点満点

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2017/04/06

米川正子「あやつられる難民」感想。
いわゆる新書。2017年03月08日読了。

著者の本は、米川正子「世界最悪の紛争「コンゴ」」2011年12月12日読了。7点 を読んだことがある。

著者は神戸女学院卒業後、南アフリカのケープタウン大学大学院で国際関係の修士を取得し、その後ボランティアでカンボジア、リベリア、南アフリカ、ソマリア、タンザニア、ルワンダで活動。その後、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に11年勤務し、ルワンダ、ケニア、ザイールコンゴ(コンゴ民主共和国:通称DRC)で難民保護活動等に従事。現在は立教大学特任准教授。

本書の内容は大きく2つに分けられる。
(1-2)難民とは何ぞや。難民を保護するUNHCRの仕事は何ぞや。を著者が長年携わってきたアフリカ難民の例から解説。
(1-2)難民が発生する直接原因は内戦や戦争だが、そもそも国家が脆弱で政治の能力が低いから。
(2)ルワンダの現政権はアカン。人権侵害しまくりだ。

私はわりとこういう本を読んでいるが、(1)と(2)は別々の本にした方がテーマがすっきりして良いのではないか? と思った。

新書にしてはわりと分厚く、300ページを超える。しかし上記のように(1)と(2)が混ざっていて、どっちも中途半端な印象を受ける。

(1)の難民についての話と、難民が発生する背景については、著者の活動エリアがコンゴとルワンダとウガンダが中心なので、必然的にこれらの国の話を引き合いに出すことになる。著者の専門分野なので詳しい。しかし個人的に感じたのは、難民問題は一般化できない(=個々の事例により難民の発生原因が異なり、対処方法も異なる)ので、あくまでコンゴやルワンダの難民問題の説明である。

(2)のルワンダ現政権の糾弾に関しては、これ自体で1冊の本を書いた方が良いと強く感じた。

ルワンダのカガメ大統領は、アフリカの小国(面積は狭く資源は何もないが、気候が良くて人口密度はアフリカでいちばん高い)ルワンダを真の独立国家とするため、女性国会議員比率世界一の国会を作ったり、IT立国を目指している。それが故、アフリカでいちばん西洋諸国から注目されている国である。

が、著者によると、カガメ大統領は裏で言論弾圧や敵対勢力の暗殺を行っているという。この点に関し著者は、許されざる悪行、的な論調で非難している。

カガメ大統領(ツチ族・虐殺された方)はもともとRPF(ルワンダ愛国戦線)というゲリラ組織のトップで、フツ族が大虐殺を行っている隙をついてルワンダの首都キガリを制圧、そのまま新生ルワンダの大統領になった人物である。反対勢力は多数いる。


私は希望や願望を極力排除して物事を考える超リアリストで、今まで得た知識(主に本)を総合すると、アフリカ諸国の発展を阻害しているのは民主主義。選挙で票を獲得した人が議員や大統領になれる民主主義の根幹たる制度は、アフリカでは「選挙の勝者が総取り」する構図を生んでいる。これを無くするためには、深い見識を持ち自国の未来を発展させる断固たる決意を持った独裁者が必要。

世界でこういうタイプの独裁者が成功した例はシンガポールのリー・クアンユー。国全体の発展こそが国家存続の大前提である、自身の対抗勢力は国の発展の邪魔だから弾圧。結果として、シンガポールは世界有数の経済大国に発展した。シンガポールは今でも一党独裁(に近い)体制で、新聞やテレビは政府の検閲を受けている。

アフリカ諸国では、ガーナの初代大統領エンクルマや、ケニアの初代大統領ケニヤッタがリー・クアンユーに近いタイプの政治家だったが、どちらも対抗勢力を押さえるのに失敗し失脚。現在ではカガメ大統領がリー・クアンユーに近い政治を行っている。

発展途上国が中進国へと発展するためには、開発独裁というステップを踏むのが最も効率が良いというのが東南アジアの発展で見られた現象。
シンガポールではリー・クアンユーが59-実質2015年まで56年独裁し、
フィリピンではマルコス大統領が65‐86年の20年独裁し、
インドネシアではスハルト大統領が68‐98年の30年独裁し、
マレーシアではマハティール首相が81‐03年の22年間独裁し、
タイではサリット首相がもっと早い時期の58‐63年の5年独裁し、
それぞれ反対者は抹殺も厭わず弾圧する開発優先政策を行い、
上記すべての国が(いろんな犠牲の上に)発展した。

という点で考えると、ルワンダのカガメ大統領の評価を下すには時期尚早な気がする。

著者が言いたいのはそういうこっちゃない、というのを分かった上で、あえて時期尚早と言いたい。

ジンバブエのムガベ大統領(1980年からずっと独裁)も、最初の20年くらいはわりとまともな大統領だったし。


7点/10点満点

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2017/03/18

岩崎育夫「入門 東南アジア近現代史」感想。
歴史。2017年03月04日読了。

著者の本は岩崎育夫「アジアの国家史」2015年03月05日読了。10点満点 を読んだことがある。素晴らしい本だった。

本書はタイトルの通り、東南アジア史に関する入門書。ASEANに加盟している

インドネシア
シンガポール
タイ
フィリピン
マレーシア
ブルネイ
ベトナム
ミャンマー
ラオス
カンボジア

の近現代史を簡潔にまとめた本である。本書も素晴らしい。

16世紀頃にヨーロッパ諸国が進出する手前の時代から始まり、

最初は貿易だったのがヨーロッパ諸国(ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランス)による侵略、植民地化へと進み、

ヨーロッパにとってかわって植民地化した大日本帝国時代、

第二次世界大戦を終え脱植民地となる1945-1960年代の各国の独立、

そして現在に至る発展の経緯が書かれている。コンパクトにまとまっていて、かつ概ね時系列に書かれているので、調べ物をする際に非常に役に立ちそうである。

私はインドネシア史やシンガポール史、東南アジア全体の歴史については何冊か本を読んだが、本書には知らないことも多く書かれていたので、とても有益であった。

以下、私がへえー、と思ったところ。

p39
マレーシアは現在も立憲君主制の下、13州のうち9州でスルタン(イスラムの王様)体制を維持している。

p52
1500年代半ば、スペインは中国との貿易を望んだ。その理由は当時、世界の経済大国1位と2位はインドと中国だったから。

p55
1700年代半ば、インドの村でイギリス東インド会社VSフランス・ベンガル豪族連合軍の戦いがあり、イギリスが勝利した。プラッシーの戦いという。

→フランスもインドに進出していたのか。

p81
1800年代終盤~1900年代初頭、フランスの植民地化にあったベトナムで、反フランス運動を起こしていた活動家を日本に留学させた。200人を超えるベトナム人が日本にやって来た。しかし、日仏条約をタテにフランスがこの留学生受け入れに反発、結局日本は留学生をベトナムに追い返した。そのため、反フランス運動の主導者ファン・ボイ・チャウは、日本もヨーロッパと同じ植民地支配者であるとみなすようになった。

p93
日本がアジア各国を植民地化した1942年に、大日本帝国は3つの事件を起こしている。
シンガポールの華僑虐殺
フィリピンでの戦争捕虜強制連行事件
・タイとミャンマーを結ぶ泰緬鉄道を建設するための労働者強制連行

p114
第二次世界大戦終了後、東南アジア各国が独立するのに2つのパターンがあった。
・もう植民地の時代じゃないと独立を容認するアメリカとイギリス(フィリピン、ミャンマー、マレーシア、シンガポール)
・植民地復活を望んだフランス、オランダ、ポルトガル(ベトナム、インドネシア、東ティモール)

p129
マレーシアの首相は、有名なマハティール以外は全員王族出身。

p132
インドネシアはアチェ独立紛争などがあり、ユドヨノ政権時代に各州の自治権を拡大、28州だったのが現在では41州まで増えている。

p139
スカルノ時代のインドネシアは、マレーシアと断交したことがある。

p143
1978年、ベトナムはカンボジアに進行してポル・ポト(親中国)を排除。
それを受け1979年、中国はベトナムに侵攻(中越戦争)(ベトナムの勝ち)
ベトナムは国内にいる華人を弾圧、財産没収の上、山奥に引っ越すか海外に去れと命令。多くが難民となり、そのボートピープルは日本にも大勢やって来た。

p159
シンガポールの首相リー・クアンユーは独裁者で、現在も新聞などのメディアは検閲を受けている。(ちなみに本書では触れられていないが、シンガポールでは政治集会も禁止されている)


などなど。とても面白かった。


9点/10点満点

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生物学。2017年02月28日読了。